障害者虐待防止研修の意義

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令和4年度から障害者虐待防止について

  • 従業者への研修実施が義務化
  • 虐待防止のための対策を検討する委員会として虐待防止委員会を設置するとともに委員会での検討結果を従業者に周知徹底することが義務化
  • 虐待の防止等のための責任者の設置が義務化

となりました。従来努力義務であった研修や責任者の設置が義務化されたことにより、体制をあらたに構築された事業所も多いと思います。併せて国や指定権者からも情報提供や研修の機会の提供があり少しずつノウハウも蓄積されていっていることと思います。

利用者がどのような行動をするか、そして、そういった行動に対してどのように対応すべきか、について、考え方やケーススタディはたくさんありますがが、現場でシナリオ通りに進むことはないと言えます。実際には、職員が現場で利用者本人、他の利用者含めて、最適と思う方法を判断することになります。そういった判断をする中で、職員は悪意がなく、利用者本人や他の利用者含めて最適と思った行動をとった場合でも、周りから見ると虐待ではないか、と思われるようなことがないとは限りません。

行政書士として障害福祉事業所で研修を実施させていただく際、虐待防止に関する法律は、利用者を守る法律であるだけでなく、職員を守る法律でもあることを説明させていただいております。

以下の消極的理由と積極的理由があります。

【消極的理由】

施設や事業所の中で障害者虐待の疑いのある事案が起きた場合、市町村への通報が義務化されています。サービス管理責任者や現場のリーダー等に相談した場合、相談を受けたサービス管理責任者や現場のリーダー等も、相談内容から虐待の疑いを感じた場合は通報義務があります。通報をしたことにより不利益を受けることはありません。

通報があった場合、市町村及び都道府県が、事実を確認するために障害者やその家族、障害者福祉施設等関係者からの聞き取りや、障害者総合支援法や社会福祉法等の関係法令に基づく調査等を速やかに開始することとなります。

通報があったことすなわち虐待をしたということではありません。虐待を未然に防止するということが制度として構築されているという考え方をしていただく必要があります。本人に虐待の意図がなかったとしても、そのまま放置して繰り返されるといずれ虐待となり、それを見た別の職員が同じ行動をとる可能性があります。そういったことが起こらないように、早く通報して、外部の調査を受けることで事態が深刻化することを未然に防ぐこともできます。

【積極的理由】

虐待をしてはならないことは、すべての職員は認識しています。一方で、どのような行為が虐待にあたるのか、虐待とならないようにどのように行動すべきか、困ったら誰に相談すべきか、ということは、個人の判断に委ねられがちでした。虐待防止委員会の設置が義務化され、委員会が以下の役割を担うことになったので、職員本人が一人で抱え込むことがないように組織で対応することになります。

  1. 虐待防止のための計画づくり
  2. 虐待防止のチェックとモニタリング
  3. 虐待(不適切な対応事例)発生後の検証と再発防止策の検討

そして、虐待防止研修が義務化されたことにより、組織としてどのように虐待防止に取り組んでいるかをマニュアルだけでなく研修でも学ぶ機会があります。研修でグループディスカッションを行うことにより、現場での事例を想定した訓練ともなり、また他の職員の考え方も学ぶことができます。研修は職員が虐待防止について学ぶだけでなく、組織として虐待防止への考え方を共有する場ともなります。それによって、より虐待防止が起こりにくい組織を作ることもできます。